E-Ink社とはまったく異なる手法でカラー電子ペーパーを実現する米CLEARink Displays社 ? hon.jp DayWatch
先月末にロサンゼルス市で開催されたディスプレイ機器業界カンファレンス「SID DISPLAY WEEK 2017」で、2012年創業のカラー電子ペーパー製造ベンチャーCLEARink Displays社が、E-Ink製の電子ペーパーとはまったく異なる新たな技術に基づく電子ぺーパーを開発したとして、優秀製品賞を受賞したそうだ。
CLEARink Displays社は、現在一般的となっているE-Ink製の電子ペーパーとはまったく異なる技術でカラー電子ペーパーを研究・開発しているベンチャーで、表示色数は劣るものの、ビデオ再生にも耐えうる高速描画を実現できることをウリとしている。
CLEARink Displays ePaper Reflective wins Best in Show at DisplayWeek 2017 ? ARMdevices.net
その電子ペーパーの原理は、単一粒子電気泳動技術(Single Particle Electrophoretic Technology)と組み合わせた全内部反射(Total Internal Reflection)の現象に基づいているという。
といっても、さっぱりわからないと思うが、私自身も、説明を読んでもよく分からなかった。公式サイトにも、ほとんど図面もないしね。文章だけで言われても、素人には分かりようがない。
TIRは、密度の違う物質の接合面に、光を照射すると、角度によって物質を透過せず、光を全て反射してしまう現象のことで、それ自体は、中学ぐらいの理科で習うわりと基本的な光学現象だ。
そのTIRに基づく反射面の上に、印加電圧により黒色粒子を反射面近くに移動させて覆えば黒、反対側の表面に移動すれば、白となるような原理らしい。表示変更時しか電力を消費しないので低消費電力であるとか、直射日光の中でも見やすい点などは、E-inkとているが、E-inkよりさらに薄型軽量にでき、フレキシブルな画面形状にお対応する点などで、優れるという。
カラー化の方式については詳細の説明がないが、カラーの表示色数に関しては、現時点でカラーE-inkに劣るらしい。その一方で、30fpsの動画が再生できるそうで、その点は、E-inkにない特徴となっている。
TIRの反射面としては、TFTパネルを使用できるため、既存のLCDパネルの製造プロセスを小改造すれば、CLEARink Displayを作ることができるのもメリットとのこと。
実際、現在LCD工場で試作中だそうで、2018年第1四半期に大量生産を開始し、今後数ヶ月でサンプルを顧客に提供する予定とのことだ。
ただ、用途としては、まずスマートウォッチなどが例に挙がっており、おそらく最初は、リスクを避け、小画面のディスプレイからスタートアップするものと思われる。
それでも、分単位の表示であれば画面表示にほとんど電力を使わないし、カラー表示も可能となれば、バッテリーの持ちに難を抱えるスマートウォッチにとっては、有難い表示デバイスになるかもしれない。
それと、これにより、最近とんと話題を聞かなくなったE-ink社のカラーE-inkの開発者魂に火がついてくれればいいのにな。
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